湖国で輝く企業を訪ねて                      ー博善社印刷株式会社ー

ペーパーレスの時代に伝えたい“紙のぬくもり”
印刷に留まらないオリジナル商品の開発・販売へ

博善社印刷株式会社/代表取締役社長 佐々木 美鈴 氏

100年続く企業の4代目として

   情報のデジタル化によりビジネスや暮らしのなかでペーパーレス化が進み、紙媒体を取り扱う印刷業界では生き残りをかけた事業方針の模索が始まっています。そのなかで自社オリジナルアイテムのブランド開発などで注目を集めているのが、守山市にある博善社印刷株式会社です。

 創業はいまからおよそ100年前の1928年、初代・佐々木清一郎氏が達筆だったことから筆耕を請け負うようになり、やがて活版印刷を始めました。地元企業の名刺や封筒、案内ハガキ、チラシなどの印刷で業績を伸ばし、90年代には3代目で現会長の博氏がデザイン事業を充実させました。

 博氏の長女で創業者のひ孫にあたる美鈴氏が、4代目の代表取締役社長に就任したのは5年前の2018年。「幼いころから父に跡を継げと言われたことはありませんでしたし、祖父母は多少期待していたようですが、女性に会社経営は難しいという昔ながらの考えもあり、 私の夫になる人が承継してくれれば、というぐらいの考えだったと思います」と美鈴氏。学生時代から体を動かすことが好きだった美鈴氏は、スノーボードやスイミングのインストラクターとして働き、長く印刷業界とは無縁でした。好きな仕事でしたが定職ではなかったため「両親に心配をかけた。少しだけでも恩返しできれば」という思いで20代後半からアルバイトとして家業を手伝い始めたといいます。

 当初はA4やB5といった紙のサイズすらわからず客先や社内で怒られる日々が続きました。しかし仕事を覚えていくうちに、集客や告知といった顧客が抱える課題を印刷というものづくりで解決することに魅力を感じるようになります。

 2000年に正式に入社したあとも、しばらくは会社になじめず孤立しがちでしたが、3年目のある日、失敗をきっかけに社内での関係が改善します。イベントの告知チラシを1週間後と間違えて新聞の折り込み発注をしてしまった美鈴氏は、2万枚のチラシを自力でポスティングするしかないことに気づいて途方に暮れました。そこへ「一緒にやりますよ!」とスタッフが集まり、真冬の寒いなか分担して地域をまわってくれたのです。「そうか、頼ればよかったのか」と気づいたことで、以降は積極的に声をかけていくように変わっていったと振り返ります。

コロナ禍を逆手に取り、商品開発を始動

 父の博氏から事業承継を打診された際は一旦断ったといいますが、デザイン関連の仕事をする夫が同社へ転職してきてくれたこともあり、「自分しかいない」という思いで社長就任を決断。社長業が軌道に乗ったのちは、夫は別にデザイン会社を立ち上げて独立し、提携関係を継続しているほか、「根性のあるスタッフのみんなが支えてくれているので、自信をもって外回りをしています」と朗らかな笑顔で話します。

 長年にわたり、名刺や封筒などのリピート発注で安定経営を続けてきましたが、ペーパーレス化が進むなかチラシ印刷なども減り、さらにはコロナ禍で受注が大きく落ち込みまし た。このピンチをチャンスに変えようと始めたのが、空いた時間を使った社内ミーティング でした。そのなかから生まれたのが「世の中に感謝をふやそう!」を合言葉にした感謝状のネットショップ「tataYell(たたえーる)」。この企画が自社商品の開発と、それらを一般に広く販売するためのECサイトの立ち上げにつながりました。

 また、社内の経理、製造、営業の各部門から1人ずつ女性スタッフが参加し、「こんなモノがほしい」をかたちにする女子プロジェクト「てのばし工房」を設立。デジタルの時代に紙のぬくもりと紙の良さ、そして「しが愛」を伝えたいという思いで文具などのオリジナル商品を開発しています。商品の販路開拓ははじめてということもあり当初は苦労しましたが、取り扱い店舗数も増え、びわ湖のヨシを使った商品やデザインの面白さがさまざまな媒体でも紹介されました。遠方の企業から「うちのオリジナル商品も作ってほしい」という依頼も寄せられ、OEM事業も始まっています。このほか、動画による宣伝・告知をもっと手軽にできるようにと、パンフレットやチラシなどの紙媒体を使って動画(アニメーション)を作成する「カミカラムービー」もスタートさせました。

これからの時代に印刷会社ができること

 ペーパーレスの時代に入り「印刷屋さんは大変でしょう、とよく言われますが、私自身は危機ととらえておらず、人にものを伝えるためには私たちのような仕事は不可欠で、印刷会社ができることは各方面の企業から溢れてくると感じています」と美鈴氏。それらをどんなかたちに創っていくのかをプロデュースするのが役割であり、小ロットにも対応できる小回りの良さを強みに、顧客に寄り添う身近な存在として相談を解決に導く窓口になっていきたいといいます。

 納期に追われることが多く、機械の稼働時間=売上とされる印刷業界にあって、先代のころより残業のない体制を整えてきたことで働きやすい環境づくりも実現しており、社員の半数を女性が占めているのも同社の特徴です。人材不足の昨今、さらに産休・育休の制度を充実させていくほか、外部コンサルティングを交えて年4回前後の全員研修も導入。コミュニケーションを活発にしてチーム力を高めることに力を入れてきました。職人気質が残り、部門間の交流をもちにくい業態であることを踏まえて、毎朝全員で朝礼を行っていま す。円陣を組んで一人ずつその日の予定を報告し、さらに抽選で一人が「good&new」を話すことにして、明るい気持ちで仕事に向き合えるよう工夫しています。  

 近江商人の「三方よし」をヒントに「三方笑顔」を掲げ、自分たちが一人ひとり主役として輝ける場所を作る「売り手笑顔」、顧客や商品にスポットライトが当たるようなパートナーになる「買い手笑顔」、そして社会に喜びの笑顔があふれるよう、自分たちが仕掛け人となって感謝の輪を広げる「世間笑顔」をモットーに、これからも挑戦は続きます。

 

企業データ

本社//滋賀県守山市播磨田町38-4
創業//1928年
従業員/21名
事業内容/印刷・WEB・デザイン・企画・販売
HP/公式HPはこちら>>

企業ポリシー

●小ロットにも対応し、顧客に寄り添って相談を受けられる窓口になる。
●紙の可能性を追求し、メーカーとなって商品を開発する。
●売り手笑顔、買い手笑顔、世間笑顔の「三方笑顔」をめざす。

>>「湖国で輝く企業を訪ねて」PDF版はこちら(PDF形式:1.2MB)

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