湖国で輝く企業を訪ねて                    ー株式会社誠進堂ー

外壁・屋根塗装業界で、2036年の日本一実現をめざして

急成長の鍵は、従業員一人ひとりの自己実現にあり

株式会社誠進堂/代表取締役 松村 洋平 氏

町の活気が一日の「スイッチ」を入れる

 いまからちょうど10年前の2015年、JR膳所駅前で社員2人の小さなリフォーム会社が産声を上げました。社長の自家用車を売って中古の営業車を買い、起業資金を作ったという経済状況のなか、大阪や京都なら狭いオフィスしか借りられないところを、膳所なら駅徒歩1分に広い事務所が構えられるのは魅力でした。「前職の地盤が滋賀にあったことも理由の一つですが、何よりこのまちには活気がある。私はこれをとても大切に考えていて、出勤時にまち行く人の活気が自然と一日のスイッチを入れてくれるんです」。そう笑顔で話してくれたのは株式会社誠進堂・代表取締役の松村洋平氏。

 事業内容は外壁・屋根の塗装工事を中心に、抗菌コーティング、増改築、防蟻工事、内装、エクステリア、内窓・断熱窓の取り付け、バリアフリー化などの施工。自社商品の屋根材「ヤネマモルくん」の開発をはじめ、職人の確かな技術や、魅力ある社内教育を受けた営業マンによって顧客の心をつかみ、飛躍的に事業を拡大してきました。
 2018年の法人化後、設立5年目には売上高20億円超を実現。8期目には30億円超を見込んでおり、滋賀本社のほか、関西・東海エリアに9つの支店を設けています。また、2036年には売上200億円をビジョンとして掲げています。このように成長を続ける背景には、どのような取り組みや秘訣があるのでしょうか。

従業員満足度が顧客満足度を生み出す

 松村氏は1985年の京都生まれ。祖父母が1960年に製本会社「誠進堂」を創業し、父に続く三代目としてその名を受け継いでいます。いまでこそ約100人の社員を抱える企業のトップを務めていますが、大学進学後は「通勤電車に乗っている一部の覇気のない大人の表情を見て、社会に出るのが怖かった」と振り返ります。働く意義が見出せないまま、自己啓発の本を読みふけり、セミナー等にも参加する日々を送っていました。
 そんななか新しく始めた飲食店のアルバイトで思わぬ経験をします。それまでは時間が過ぎることだけを待って働いていましたが、その店ではスタッフ一人ひとりが店やお客様のことを本気で考えて行動していました。それは社長の「お客様に心から感謝し、お客様から感謝される存在をめざす」という理念に基づくもので、これに大きく影響を受けたといいます。
 24歳で入社したリフォーム会社でもその理念をもとに営業として力を発揮し、300人の社員がいるなかで2年目には売上全国5位、瞬く間にトップセールスを記録。京都支店の支店長に抜擢されました。
 しかし、会社は年商100億円規模ながら、辞職者が相次ぐ状況で、「お客様に感謝してもらえるように」と奮闘していた松村氏も限界を感じて退職。自ら起業すること決めたなかで、「働いて生活できるだけではダメだ。働く人が成りたい人生を描き、実現できるようにならなければ」と、従業員満足度と顧客満足度、会社の成長の両立を目標に掲げました。

自らに向き合う「本気の朝礼」と「夢ノート」

 「誠進堂で働く人は目が輝いていたり、夢をもう一度見られるようになったり、自己実現に向けて本気でチャレンジしてほしい」。そんな思いがあるなか、同社の名物となっているのが「本気の朝礼」です。「大人になると大声を出す機会がないので、みんなで一斉にやれば恥ずかしくない。本気で声を出し、本気で自分の夢を語ることで人は大きく変われます」。自分自身を大切に考えるようになれば、家族を思うようになり、自然に仲間や会社、お客様、地域、社会、日本、世界へと思いと変化の輪が広がっていく―。そんな「インサイド・アウト」と呼ばれる考え方を従業員の育成とコミュニケーションの基盤に据えているといいます。
 月に一冊、全社員に特製の「夢ノート」が配布され、一日の目標やアイデア、自分を肯定し、褒める内容を記入する欄が設けられています。表紙裏に書かれた「習慣の上に成長あり、成長の先に成功あり」が、まさにノートの目的です。 

毎月贈られる一人ひとりへのメッセージ

 人材育成に関しては、入社半年後の研修や役職別研修を実施しているほか、外壁診断士・アドバイザーや一級塗装技能士、雨漏り診断士などの資格取得も積極的に後押ししています。
 また、2023年のWBC日本代表ヘッドコーチを務めた白井一幸氏を研修に招くなど、心身の両面からステップアップを支援。福利厚生では、一般の有給休暇とは別に恋人や家族と過ごすための「LOVE休暇」制度を実施しているほか、毎月2kgの米を一人ひとりに贈っています。「給与とは別にご家族に直接渡るものとして考えました。自分と家族を大切に思うきっかけにしてもらえれば」という言葉に、理念が細かな配慮として行き渡っていることを感じさせます。
 自分から家族、会社、顧客へと広がった輪は、利益の1割をCSRに関することに使うかたちで地域や社会へ還元しています。地域の清掃活動なども、とくに取り決めは設けていませんが、それぞれの支店で自発的に実施されているとか。
 「各部署に背中を預けられるリーダーがいるので安心して仕事を任せることができるんです」と笑う松村氏が、創業以来、欠かさず続けていることがあります。給与明細の封筒にひと言ずつ添えられた筆書きのメッセージは、社員が100人近くなったいまでは、かなり時間がかかっていますが、一人ひとりの顔を思い浮かべながら伝えたい言葉を考えるそうです。「ふと筆が止まるときは、その人とのコミュニケーションが足りないとき」と話し、良いバロメーターになるといいます。ときに熱いメッセージを、ときに家族への温かな気遣いを添えた一筆が、変わることのない変化への挑戦を支えているのかもしれません。

企業データ

     

本 社/滋賀県大津市馬場2丁目8-6
設 立/平成30年(2018年)6月
従業員/96名
事業内容/ リフォーム業

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企業ポリシー

●全社員の物心両面の幸福を追求し続け、お客様に感動と満足を提供する。
●人間的成長(感謝・貢献・自信)に努め、縁ある人々を幸せにする。
●地域社会に貢献する。

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