湖国で輝く企業を訪ねて                                          ー株式会社コバヤシ化成 ー

大量生産できる消失模型を作ってオンリーワン
環境負荷の低い成形技術で水道インフラに貢献

株式会社コバヤシ化成/代表取締役 小林 雄一郎 氏

金型メーカー、鋳物メーカーとともに試行錯誤

 自分で事業をやろうと14年間勤務した蒲生町役場を早期退職して、平成3年に個人事業としてコバヤシ化成を立ち上げた小林耕次会長。最初は生地に短繊維を植える電気植毛をやりかけましたが、バブル崩壊によって需要が激減、そんな時に樹脂を扱う大手企業から、発砲スチロールを使った消失発泡模型をやってみないかという提案を受け、現在にいたる事業がスタートしました。

発泡スチロール型消失模型は、人の手で成形機から取り出して、その都度金型内を掃除したり、分割して成形した模型を人の手で接着加工するなど、砂型や木型に比べると技術的に難しく手間がかかりますが、複雑な形状や寸法精度の高い鋳型を作ることができる点が大きな特徴です。

発泡スチロール型消失模型を製造するメーカーが少ないのは、自動化できないため模型の量産が難しく、鋳物の大手メーカーではなかなか砂型から消失型に移行できないことなどが要因となっています。

「ものづくりの実績も経営の経験もなかったけれど、毎日遅くまで一生懸命働いて、5年間でなんとか事業を軌道に乗せることができた。当時、鋳物は砂型や木型が主流で、消失模型鋳造法で製造しているところがほとんどなくて、競合する会社がなかったことも幸いした」と振り返ります。

金型メーカー、発泡模型を作る同社、鋳物メーカーが一体となって取り組み、試行錯誤しながらやってきたことで、消失模型鋳造法が定着することになりました。2台の成形機から始めて、失敗を繰り返しながらも徐々に生産量を増やし、平成12年には有限会社となり、さらに20年に株式会社に変更し業容を拡大してきました。

日本の水道埋設管は総延長65万キロにもなり、その多くが今、更新の時期を迎えています。100%公共事業で行われる上下水道管に使われるため、安定した需要が見込める止水バルブですが、東日本大震災や新型コロナウイルスなど自治体がインフラ整備よりも優先すべき課題が発生した時、十分な予算が確保できないことが、同社の問題点です。

中小企業診断士とともに経営改善

現社長の雄一郎氏は学卒後、滋賀県内の金属加工会社に就職していましたが、同社において金型を組み立てできる職人が50歳を超えていることから、技術継承の必要性があり、耕次会長が呼び戻した経緯があります。
 「急なことになりましたが、お世話になっていた会社でも親子間の事業承継を経験されていたことから、無理を聞いていただきました。」と、雄一郎社長。

当時、ものづくり補助金を活用して新しい成形機を購入していましたが、それでも残る機械も古くなっており、老朽化が目立っていました。“二匹目のどじょう”をねらって新たに補助金を申請しましたが、自社では思うような説明がつかず採択にいたりませんでした。

そこで、地元商工団体を通じて出会った中小企業診断士の力を借りて再度補助金申請しようと考えましたが、相談を重ねているうちに技術継承・事業承継・設備投資といった諸問題、それに外部環境の変化で弱さが露呈するビジネスモデルも含め、すべてリンクさせた経営改善計画の策定が必要との結論にいたりました。

診断士の指導のもと、同社の経営課題の洗い出しを行い、窮境原因を除去するために取引先との関係強化や新規顧客の開拓、社内改善に向けた取り組みが開始されました。

令和2年、雄一郎氏がいよいよ代表取締役に就任。引き続き主要取引先との連携を深めるとともに消失模型鋳造に興味をもった他業種から試作のオーダーがあるなど計画上のアクションプランについて着実にタスクをこなしています。

計画策定から4年経過した今でも月に一度、診断士による計画の進捗状況を確認するモニタリングは続いていますが、雄一郎社長はその機会を楽しみにしています。
「自分には会長のように人間力で事業展開していくことはできないので、経営のいろはを教わる、いい機会と捉えています」と雄一郎社長。

肝心のものづくり補助金の申請も診断士の力を借りて見事採択を受け最近、複雑な形状の一点物や小ロットの模型を製造するための設備を導入しました。消失模型の技術を持って、さまざまな要望にきめ細かく応えられるようになった強みを活かし、止水バルブ以外の製品づくりも提案できないかと今後はビジネスフェアに出展するなど、待ちの経営ではなく新たな取引先の開拓にも取り組んでいきたいと考えています。

また、将来的に経営権も耕次会長から事業承継することを見据え、既存借入金を一本化するとともに経営者保証を免除する事業承継特別保証を利用しました。

「診断士さんにアドバイスを受けながら経営改善に努めた結果、財務内容が評価され金融機関さんからこの保証制度を活用することを提案されました。事業承継時の経営者保証の免除は後継者にとって、思い切ったチャレンジをしていく上で励みになる」と感想を述べています。

従業員のモチベーションとモラールアップのために

 経営改善計画の中で高い技術力を背景とした取引先との関係強化や新規顧客の開拓、またそれを実現していくために必要な設備投資は十分とは言えませんが前進しています。

他方、課題となっているのは人の問題。耕次会長から雄一郎社長への技術継承も含めた事業承継は進捗していますが、従業員の高齢化に伴う新たな人材の確保と育成は急務であり、また人事評価の見える化を進めることが課題となっています。「小さい会社なので、社長自ら現場に出て従業員と一緒にさまざまな仕事をしているのが強み。従業員の意見も吸い上げながら、ものづくりへのモチベーションを高める人事評価制度を作っていきたい」と考えています。

そうした中、同社は地元信金と龍谷大学のユヌスソーシャルビジネスリサーチセンターらが立ち上げたソーシャル企業認証を取得しました。

これまで全国に張り巡らされている水道バルブの製造の一端を担ってきたことや消失模型鋳造法が環境負荷の低い技術であることへの自負はありましたが、自社が安全な水を供給するためになくてはならない役割を果たしているとまで認識したことはありませんでした。

今後は金融機関や診断士からのアドバイスを受けながら、社会的課題を解決する企業として対外的なプレゼンスを高める手法を学び、従業員のモラールアップにもつなげたいと考えています。

高い成形技術で生活用水の安定供給を支える

 水道事業に不可欠な止水バルブの製造を支えることで、生活用水の安定供給に寄与していることや原料の発泡スチロールは省資源材料で、鋳型に使う砂は100%再利用できるため環境に低負荷であることなど、自社の事業は社会課題解決に貢献しているとの自負を持っています。

今後は、高い技術力と意欲を持った従業員とともに止水バルブ以外の製品づくりも提案していきたいと考えています。

企業データ

本社/東近江市川合町600番地
設立/2000年9月
従業員/13人
事業内容/プラスチック製品製造
HP/https://kobayashi-kasei.com

企業ポリシー

  • 高い成形技術で大量生産から一点物まで幅広いオーダーに応える。
  • 発泡スチロール型消失模型の技術を磨き、継承していく。
  • 水道インフラを支える存在として、従業員が誇りをもって働ける職場づくりを目指す。

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